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田植えシーズン突入! 煌めく田んぼとちょっと変わった田植えのお話。

2015.05.25 カテゴリブログ

薄く広げられたコーティング米

 

 

黒い米は、今年も秋には純白のお米になります。

 

唐突ですが、お米の記事です。5月のこの時期は田植えシーズン。新緑の田んぼには水が張られ、太陽の光で煌めきます。一面に広がる田んぼが朝陽や夕陽に照らされ輝く様子は圧巻。心を奪われます。田舎ならではの風景ですね。

 

福島県相馬市の田園風景

 

*黒いお米に関しては以前の記事にて:お米の栽培スタート直前。今年も世界ランキング上位を目指して――

 

さて、相馬市今田の佐藤徹広さんの田んぼでも、5月の頭に田植えが終わりました。これまでもお話してきましたが、佐藤さんは直播(ちょくは)という、種もみを田んぼに直接播(ま)く栽培方法を採用しています(特別栽培米に関しては直播ではなく苗を植えるのですが、これまた面白い手法で育てるので、後述しますね)。

 

この直播の田植え、というか種まき(笑)を見学してきたので、ご紹介いたします。

 

佐藤徹広さんの奥さんと息子さん。

 

当日、天気は晴れ。田んぼには佐藤さんの奥さまと息子さんもいらっしゃいました。「うちは息子にも娘にも小学校くらいの頃から忙しい時期は手伝ってもらっているんだよ」と佐藤さん。この日も、息子さんが田植え機を運転していました。

 

直播を行うための田植え機

 

コチラがその田植え機なのですが、どこから種もみが出ているか分かりますか?

 

直播を行うための田植え機

 

ココです。ココから鉄でコーティングされた種もみが播かれているのです。播き終わった田んぼがコチラ。

 

佐藤徹広さんの直播の田んぼ。田植えが終了した風景です。

 

……。

 

「田植えしたの?」と言ってしまいそうですよね。実際、佐藤さんも「大丈夫なの?」と周りの農家さんに言われたこともあるそうです(笑)。

 

田んぼ全体で見ると分からないので、少し種もみに寄った写真を載せます。

 

佐藤徹広さんの直播の田植え。種もみを播いた様子

 

まだ少し見えにくいですね……。ここにあるのですが、分かりますでしょうか。

 

佐藤徹広さんの直播の田植え。種もみを播いた様子

 

さらにもう少し寄った写真がコチラです。

 

佐藤徹広さんの直播の田植え。種もみを播いた様子

 

ありました! このような種もみ群が、一定間隔で作られていきます。播くといっても規則正しく播いていくので種もみが成長すると、苗を植えた田んぼと同じように稲がきれいに並んだ田んぼになるのです。もちろん、運転次第でズレが生じてしまうことはあるようですが、そこは腕でしょう。

 

佐藤徹広さんの直播による田植え。相馬では珍しい手法

 

この直播という栽培方法は、田植えに係る労力が少なくて済むのだそうです。それは何故かというと、苗を育てて植える場合は苗をトラックに積み、田んぼに運び、またトラクターに乗せ、さらに苗箱を洗って……と、力仕事が多いから。もちろん、お米のコーティング等、新たな作業が発生しますが、佐藤さんの奥さんも「(昔と比べて労力が)全然違う」と言っていました。

 

高齢化とともに米農家の人口が減り、一人当たりが扱う田んぼの面積が増えていくことを考えると、「時代に合ったやり方」だと佐藤さんは言います。

 

しかし、ある程度育ててから植える従来の方法に比べ、直播は芽が出るかどうかが心配ですし、この手法で育てる農家さんも周りにいません。だからこそ佐藤さんは、コーティングに使用した鉄の量や田植えの時期などを細かくノートに記録し、ノウハウと経験を目に見える形で蓄積してきました。成功と失敗のデータがあれば様々な状況にも対応できますし、自身を持ってお米を育てることができます。

 

資料を見ながら説明をする佐藤さん

 

「こうやって記録しておけば、直播を始める人に教えてあげることができる。余計な心配をすることもなくなる」というのが、佐藤さんが米作りをデータ化している理由です。新しく直播に挑戦する農家さんも安心ですね。

 

今ではほとんどの田んぼを直播で育てている佐藤さんですが、特別栽培米という、通常より少ない農薬や化学肥料で栽培するコシヒカリに関しては、田んぼとの相性や認定の条件などから従来の手法で育てています。

 

特別栽培米に関してはコチラで詳しく説明されています。

特別栽培農産物とは

特別栽培米の特長

 

“従来”といっても、ここにも見どころが。苗を育てるには、種もみを発芽させないといけません。発芽には一定の温度が必要で、機械で温める場合もあるのだそう。

 

一方で佐藤さんは、この発芽のために発酵を利用しています。何をするのかというと、もみ殻と土を盛った山の中にバケツを仕込み、その中に種もみを入れておくのです。そうすると、もみ殻が発酵し発熱します。この熱が発芽に丁度いい塩梅になった頃を見て、バケツに種もみを入れて発芽を促すのだそうです。

 

佐藤さんが絵を描いて説明してくれました。

 

佐藤徹広さんの田植え。種もみの発芽のために、発酵の熱を利用している

 

さらに、実際に見せていただいたのですが山を掘り返すとモクモクと水蒸気が。土を触るとほのかに温かかったです。

 

佐藤徹広さんの田植え。種もみの発芽のために、発酵の熱を利用している

 

佐藤さん曰く、昔はこういう方法で発芽させていたそう。先人の知恵というやつですね。賢い。そしてエコ。

 

こうやって発芽した種もみは、苗箱に移されてハウスで育てられ、一定の高さに育ってから、田植えされます。

 

佐藤徹広さんが育てる苗。

 

写真は土から頭を出した苗の子ども。水滴が可愛いですね。この特別栽培米用の苗も直播の田植えの後に田んぼデビューを果たしましたよ。

 

田んぼの景色を見ていると、いよいよ!という何とも言えない高揚した気持ちになります。今年も美味しい相馬の米ができることを願っています。そして、佐藤さんのお米が、今年も国際大会で金賞を受賞することを祈っています。見守っていてくださると嬉しいです。

 

福島県相馬市の田園風景

 

佐藤徹広さんのお米はコチラ

コシヒカリ

ヒトメボレ

天のつぶ
 

コチラもゼヒ☆

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